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僕は以前抗がん剤治療をしている患者さんに関わることが多かったのですが、
「こんな不味い飯食べられるもんじゃない!」
と、不満を述べられる方も多くいらっしゃいました。
これはうちの病院の食事が特別不味いわけではなく、抗がん剤治療を受けている患者特有の症状が原因となっている場合が多いと思います。
がん患者は食べたいという気持ちが落ちることが多いようです。
抗がん剤により食欲を生み出す視床下部への刺激が起こりにくくなることや、消化管の機能が低下することが関係してると言われています。
「臭いがダメ」「臭いを嗅ぐだけで食欲が失せる」という人もいます。
また抗がん剤の副作用で味覚に変化が起きる場合もあるでしょう。
「変な味がする」とか「苦い味がする」などと訴えることもあります。
こうした味覚の問題は、魚や肉類などタンパク質や鉄分が豊富な食べ物に多く起こるようです。
調味料で調整しても難しいケースが多く、そうした場合は乳製品や豆腐など別のタンパク源を摂ることを考えた方がいいかもしれません。
対策
ではどんな解決策があるでしょうか。
・1回に食べる量を減らして、食事回数を増やす対策。
・食べられる時に食べるという解決策。
・手軽に食べられる軽食を用意しておくという手もあります。
3度の食事の時間に食べられないと、プレッシャーに感じてしまい、さらに食欲が低下してしまうという事態も起きます。
はじめから量を少し減らしてあげることも必要です。
「食べられなかったら、残していいんだから」とスタッフが患者さんに言っている場面をよく見ますが、高齢の患者さん(特に戦中・戦後すぐに生まれた患者さんは)は、残すことに罪悪感を持っている場合もあります。
またご家族から好物を持って来てもらっている人もいますが、それは成功する場合も不成功に終わる場合もあります。
僕が担当した患者さんで、実際好物だったものを食べてみて、違う味のように感じてしまってショックを受けたことがありました。(僕も実体験であります)
今まで好物だと感じていたものが、「美味しくない」と印象が植え付けられて、その後に再トライしなくなることもありました。
うちの病院の栄養科のスタッフも頑張っていて、少ない予算でさまざまな工夫をしています。(予算額を聞いたら、文句なんて言えない)
でもそれでも食べられない人はいます。
そんな中、果物なら食べられるという方が少なからずいます。
もちろん果物だけで必要な栄養を摂取しようというわけではありません。
栄養素的には不十分なのは分かっていながら、それでも少しでも口当たりの良いものを食べていただくのは悪いことではないと思います。
栄養のバランスを考えながら、その中で1つでも食べられればと考えるのと、とりあえず栄養の概念を横に置いて、食べられることを優先させるのと・・。
どっちが正解ってことはないだろうけど、選択肢の一つとしてあっても良いのではと思ってしまいます。
医師や栄養士さんに相談してみてください。
以上、雑感を含め食事について書いてみました(それらが絶対ではなくて、ケースバイケースですよね)。
ありがとうございました。
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