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合理的配慮とは何だ?
僕が復職して、フルタイムになりましたが、それでも以前のように働くことはできません。
臨床チームにも入れず、独自のポジションと言えば聞こえが良いですが、いわば戦力外通知状態です。
まあ、片耳難聴だし失語はあるので、ある程度は仕方がないことだと思いますが、リハビリテーション に携わるものとして、障害者がどのように復職することができるか、自分自身の体験として実践したいと思うのです。
できる限り、あがいてみたいのです。
それには「合理的配慮」という概念がキーワードになると思います。
障害者の権利に関する条約第2条では、合理的配慮とは、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものである。」と書かれています。
ちょっと難しいですが、Wikipediaでは、もっと簡単にこのように書かれています。
「障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のことである。」と。
大体内容は理解できますが、まだ難しい。
その「過度に負担になり過ぎない範囲」って、どのくらいの範囲なのかが分からなくて、モヤモヤします。
またモヤモヤすることの1つは、合理的配慮は当事者が申し出る必要があるということです。
自分で特別な配慮を求めることは、周囲からえこひいきと思われてしまうのではないかという不安もあります。
僕の場合の合理的配慮とは何だろう?
内閣府が示している具体例は次のようなものです。
「・車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮を行う
・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行う
・障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更を行う」
などです。
物理的なものだけでなくルールや慣行も含まれるのは興味深いですね。
僕の場合の合理的配慮って、一体何になるか考えてみたいと思います。
以下に僕が実際に抱える問題を簡単にあげてみます。
・高次脳機能障害のために作業に時間がかかる
僕は高次脳機能障害があるため、普通の人よりも作業に時間を要します。
一般には20分の1単位を1日に18単位以上となっていますが、それを忠実にやると、時間外勤務なってしまいます。それを下回ることも許されるのでしょうか。
まあ単純に単位だけなら可能だと思いますが、急性期のリスク管理をしながらの18単位は今のところ難しいと言わざるを得ません。
・片耳難聴のため、音の聞き取り聞き分けが困難
難聴や失語のために大勢参加する会議に出席出ることはできません。
音の方向が分からないから、まず誰がしゃべっているかわかりません。
2人同時に喋ると完全に聞き取れません。
脳の障害を患う前は自前でICレコーダーを持参して、それを文字起こしすることで、議論にはなんとかついていけました。
社会は健常者を基準に設計されています。
病院は高度なサービスを提供する機関ですから、健常者でも扱いが難しい場合もあります。
例えば、人工呼吸器、輸液ポンプなど医療機器のアラーム、バイタル測定のアラーム、患者からの呼び出し音など、機器が聞こえることを前提にしているため、難聴者には困難なのです。
ただ慣れることはできるし、他の感覚を駆使して補うことは可能です。
・失語のためスムーズなコミュニケーションが困難
患者さんと円滑なやりとりをすることは医療者に必須な技術ですが、僕は言いたいことが言えずに困惑させてしまうことがあります。
今は絶対伝えなくてはいけないことは、口頭と同時に紙に書いて渡すようにしています。(この資料作りにも時間がかかります。)
また会議などで発言を求められる場面では、うまく意見を言えず困ります。
果たして解決策は?
障害の社会モデルの考え方では、「困難が生じるのは、個人に障害があるからではなく、障害のない人を中心に社会が作られているから」とされています。
社会(職場)で、そうした障壁を取り払うことはどの範囲まで可能なのでしょうか。
「過度に負担になり過ぎない範囲」とはどのくらいの範囲なのでしょうか。
職場がそれが負担だと言えば、無理となってしまうのでしょうか。
完全とまで言わなくても、他のスタッフとほぼ同等に仕事ができるように環境を整えることを要求しても良いのでしょうか。
なかなか答えは出ません。
何かごお知恵をいただけたらありがたいです。
ありがとうございました。
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