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ワッサーマンの歯車とは?
ワッサーマンの歯車とは、アメリカの生理学者であるワッサーマン氏が提唱した体内の代謝メカニズムの模式図です。
人間が活動するためには、エネルギーを供給し続けることが必要になりますが、それには肺、心臓(血流)、筋肉という3つの歯車がうまく働かなければなりません。
呼吸の仕組みを図式でわかりやすく示していて、リハビリスタッフにとっても、非常に重要な概念です。
多分多くの方はすでに承知していることでしょうが、この機会にもう一回おさらいしてみたいと思います。
イラストに描いてみました。
下の図の3つの歯車は、それぞれ肺、心臓(血液も含む)、骨格筋を表しています。
この歯車が「肺」。
この歯車は「心臓」。
この歯車は「筋肉(骨格筋)」を表します。
これら3つの歯車がどのように回っていくかを、これから説明しますね。
次の図を見てください。
繰り返しになりますが、右の歯車が「肺」、真ん中が「心臓」、左の歯車が「筋肉」を表します。
まずは吸気の流れから。
肺が大気から酸素を取り込みます。取り込まれたガス交換され血液に移動します。
そして手渡された酸素は真ん中の歯車の心臓に届きます。
心臓はポンプの役割をして、さらに酸素を全身に送ります。
酸素は最後の歯車の骨格筋に到達したら、骨格筋に存在するミトコンドリアで酸素を消費し、エネルギーを産生します。
次に折り返し。呼気への流れを説明します。
エネルギーを作り出した際に出る副産物として二酸化炭素はさっきの逆の道筋を通り、心臓、肺の順で体の外に排出します。
以上が呼吸の大まかな仕組みです。
この2つの過程を合わせたものが、次の図です。
人間が活動するためには、この3つの歯車が円滑に回ることが必要です。
呼吸リハビリテーションを行う時は、この図を思い描いて、呼吸に関わるどの部分が問題になっているのかを考えましょう。
例えば筋ジストロフィーやALSの拘束性呼吸障害の場合は、呼吸筋や呼吸補助筋の筋力低下によって空気を取り込むことができません。(換気不全)
COPDやなどの慢性閉塞性呼吸障害や間質性肺炎の場合を考えると、大気から空気を取り込むことはできますが、肺でガス交換ができず、酸素を血液に渡すことができません。(拡散障害)
また肺に問題が無くても、心筋梗塞や不整脈などで心臓のポンプ機能が障害されると、酸素を抹消の骨格筋に渡すことができなくなります。
では、どうしたら良いでしょうか?
どの部分(歯車)に問題があると分かったら、リハビリでそれが改善できるものかを考えましょう。
例えば肺の歯車に問題があったとして、次に肺の何が問題があるのかを探ります。
先に述べたように、拘束性呼吸障害が原因で肺が拡張できないのであれば、リハでは廃用性の筋力低下を予防しながら、呼吸筋が硬くならないようにストレチ等のアプローチをします。
閉塞性呼吸障害が原因の場合は、拡散障害自体をリハビリテーションで改善することができなくても、肺の拡張は必要なので、呼吸体操などで拡張を促したりします。
このように肺に問題がある場合には、次の心臓の歯車に多大な負担をかけることになります。
では、心臓の負担を軽減するにはどうしたら良いでしょうか。
リハビリテーンでは心臓自体にアプローチできるわけではないので、その次につながる筋肉の歯車にアプローチすることになります。
リハビリでアプローチしやすいのは筋肉ですが、そのことが結果的に心臓や肺の歯車を回すことにもつながるのです。
筋力トレーニングやストレッチ、動作練習(歩行など)から換気効率を改善して呼吸の歯車を回し、それが循環の歯車を回すことにもつながり、さらに耐久性も向上していきます。
このように歯車を1つ1つ回していくことが、大切なんですね。
ありがとうございました。
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