気管切開をすると口から食べられなくなる???(気管喉頭分離術について)

気管切開をすると口から食べられなくなる???(気管喉頭分離術について)

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僕が勤めている病院には、神経難病の患者さんや重症心身障害児(者)の方が多く入院しています。

病状の進行や加齢によって嚥下が困難になり、唾液などの分泌物が気管に入り込んで肺炎になるという重篤な症状になることもあります。

その場合、長期にわたって安定した呼吸管理が必要になり、気管切開(Tracheostomy)が選択肢の1つになります。

気管切開は、気管に直接穴を開けて通気を確保する医療手術の一種です。

呼吸を安定して管理するには重要ですが、気管切開をすると口から食べられなることを心配され、躊躇される人も多数いらっしゃるのが実情です。

食事は人生において大きな楽しみですから、躊躇される気持ちも十分に理解できます。

ですが、気管切開を行なったからと言ってい、必ずしも食べれなくなるというわけではありません。

それを可能とするのが気管喉頭分離術という方法です。

食道と気管を分離し、食事が可能になるようにする手術です。

もちろんそうは言っても手術は手術だし、患者の嚥下残存機能など適応は限られると思いますが、希望される場合はその旨を医師に相談していたたけると幸いです。

 

今回の記事では、気管切開や気管喉頭分離術がどのようなものか、簡単なイラストを描いてご紹介したいと思います。

あくまで、僕の拙劣なイラストなので、精度は期待しないでくださいね。

気管切開や気管喉頭分離術はどんなものか、またこのような理由で行われるのか、ぼんやりと理解していただければ、それでよろしいかと思います。

では。

 

頭部の断面図(空気を食物の通り道)

これは頭部の断面図です。

鼻や口から入った空気は、途中で二股に分かれた気管を通ってに到達します。

また口から入った水分や固形物食道を通過します。(イラスト参照↓)

 

気管切開とは

唾液などの分泌物が通過を妨げて換気が困難になれば、気管と喉の間の閉塞を解消するために、気管に穴を開けて、新たな空気の通り道を作ることを考えます。

これが気管切開です。切開した気管には気管切開チューブというものを挿入します。

 

気管切開によって呼吸管理は格段にやり易くなります。

痰が自力で出せなくて、誤嚥性肺炎を繰り返す場合は、このチューブから直接気管内吸引を行うことができるのです。助かりますね。

ただし、イラストに示すように口や鼻から落ち込んだ唾液などの分泌物は気管の方に流れて、カニューレの上部に溜まったり、またカニューレの隙間から流れ込んで、肺に入ってしまうことがあります。

誤嚥性肺炎のリスクは残存したままです。

 

気管切開をすることで誤嚥性肺炎は少なくなりますが、完全になくならないのはこういった理由です。

 

一方、気管切開をするデメリットもあります。

口から食べ物を食べられなくなることです。

気管切開を受けることで、気管と喉が切断され、喉頭から食べ物や飲み物が通ることができなくなるんですね。

気管切開を受けた患者は、通常、経皮的な胃造瘻(PEG)と呼ばれる手術を受け、胃にチューブを挿入することで栄養を摂取します。

 

口から食べることを通常は諦めることになりますが、これを解消するものがあります。

次に説明する気管喉頭分離術(食道と気管を分離する手術)です。

 

気管喉頭分離術とは

気管咽頭分離術は、喉頭と気管を分離し、食道が独立して機能するものです。

呼吸は気管切開部分から、安全に行うことができます。

 

終わりに

繰り返しますが、気管切開や気管喉頭分離手術の適応を医師によく相談しましょう。

疾患や病状、年齢、患者さんや家族が何を一番に望んでいるかなど、考慮しなければならない事項がたくさんあります。

『焦らずに‥』といっても多くの患者さんは切羽詰まった状態で決断することが多いと思いますが、よく医師やご家族と相談してくださいね。

 

今回は気管切開を行なった人に口から食べる方法(気管喉頭分離術)についてご説明しましたが、実際は食べることを目的にするより、誤嚥性肺炎を予防する目的で選択されることが多いように思います。

 

ありがとうございました。

 

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