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臨床にいた時、患者さんやご家族から、「4点杖を使ってみたい」という希望が多く聞かれました。
彼らは多分、1本杖(T字杖)の安定性に不安を感じていたのだ思います。
支持している点が1点か、4点か…多くなるほど安定してるのではないか‥そう思う気持ちは充分理解できます。
足が1本だと倒れてしまい、杖自身で立つことができませんからね。
でも、静的に安定している4点杖も、退院してからの生活場面では、かえって使いづらいことが多いのも事実。
今回は4点杖の適応について、ごく簡単に書いてみました。
4点杖とは? 4点杖の適応とは?
持ち手が1つ、地面に接地する脚が4本ある杖です。
サイズはさまざまありますが、S.M.Lの3つです。(LLがあるメーカーもあり)
支持している面積が、大きれば大きいほど安定します。
しかしその分、重量が重くなります。
4点杖は基本的に地面に対して垂直に着くことを想定されています。
垂直に4点同時に接地し、荷重に対する安定性を保証するのです。
屋外など地面に凹凸がある場所では、安定しません。
このような意味で、屋内のような平面で4点杖はより力を発揮できると言えます。
歩行時の4点杖での適応について
では今度は、歩行時に4点杖がどのようにはたらくかを見てみましょう。
図のように、杖は大きく出すことはできません。
というのも、仮に杖を大きく出してしまうと、地面に接するのが4点ではなく2点接地となり、かえって不安定になるでしょう。
例えばこんな感じに(↓)
同様な理由で、健側の振出しも小さく患側を越えることはできません。
杖の後方が床面から離れ、2点支持となり安定しません。(こんな感じ↓)
そうなると歩行パターンも決まってくるでしょう。
手前に杖を着いて、歩幅小さくなります。
いわゆる3動作揃い型ということですね。つまりこういうことです。
杖は手前に垂直に接地し‥
健側下肢は杖の横に踏み出し‥
健側を揃えます。
もうお分かりになったでしょうが、4点杖が適応になる人は、どのような人でしょうか。
例えば、片麻痺の場合、発症直後は弛緩性で支持性も低く、しっかりした杖が適応になります。
その場合は4点杖の適用になることもあります。
歩行スピードより安定性を重視する方ですね。
治療が進んで、リハビリにより下肢の支持性が高じてくると、安定性を保ちつつ、スピードを考慮するようになります。
そうなると先ほど説明したように、4点杖の歩行パターンでは歯がゆい気持ちになるでしょう。
そこで杖をT字杖に変更し、前型の歩行パターンに移行するのが、自然な流れです。
ですが、実際はそううまくはいきません。
残念ながら4点杖を手放すことができずに、不安定な歩行することになります。
杖はある意味お守りみたいな側面もあるので、気持ちは理解できますけれど。
ありがとうございました。
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