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プラトー。
医療従事者には馴染みの言葉ですが、あまり一般的ではないかもしれませんね。
プラトーを簡単に説明すると、症状が固定した状態のことです。
つまりリハビリの分野で言えば、これ以上訓練しても機能的に良くならない状態のことです。
例えば脳卒中で片麻痺を患った患者さんは、発症から2週間くらいで急速に改善し、
その後回復のスピードは緩やかになるものの回復し続けます。
そして半年経過する頃にある程度症状が固定されると言われています。
そういう理由で、脳血管疾患のリハビリテーションの期間は、発症から180日と期間が定められているのだと思います。
このことに関してはセラピストで様々な見解があると思います。
回復の過程は人によって差がありますし、一律に決めることはできないのもよくわかります。
実際に何年経ってから少しずつ回復していったという報告もあります。
僕が以前に担当していた、発症から数年経って症状が固定されたかに見えたケースでも、
リハを再び始めると麻痺した手が動くようになったことがありました。
まぁこの場合は麻痺が改善したのではなく、廃用の部分が良くなっただけじゃないかと言う反論が返ってきそうですが。
セラピストの中には、簡単にプラトーって言葉を言うべきではないという人が一定数います。
ある意味カッコいいとも思います。
「セラピストなら諦めてはいけない。」
「患者さんより先にセラピストが諦めてどーするんだ」
と声高に叫んでいる人も見受けられます。
最善の治療を模索することもなく安易にプラトーという言葉を使ってしまう最近の風潮に
警鐘を鳴らしたいと言う気持ちもあるのでしょう。
確かに多くのセラピストはその点について反省する必要があるのかもしれません。
反面、患者さんに希望を与え続け、社会復帰を遅らせているケースもないわけではなさそうです。
「歩きたい」という希望は多くの患者さんが持っています。
理学療法士としても歩行の獲得は得意分野でありますから、何とか達成してあげたいと思うのでしょう。
ですが、すべての患者さんが自立のレベルに到達できるわけではありません。
早めに車椅子の選択をしていれば、生活範囲の拡大につながり、
社会復帰を果たしていたのにと残念に思うケースもあります。
実際、僕が以前に働いていた病院で、受傷して何年も経つ脊損の若者が長下肢装具を装着して歩行練習をしていました。
やらないと絶対出来なくなるから・・という理由で毎週のように通っていました。
患者さんの希望を聴くことも必要でしょうが、
早期から改善できるところ、難しいところを見極め、
できないところに固執させることなく、代償手段を考えていくことが大切なんだろうと思います。
ありがとうございました。
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