「意欲のない患者」とレッテルを貼る前に考えなくてはいけないこと

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いわゆる「リハビリに乗らない患者さん」は存在します。

幾度の訪問、声かけ、促しにも反応が悪く、

その日のカルテには「意欲低下」なんて不名誉な記事が書かれることになります。

 

でも、待ってください。

本当に意欲が低下しているのでしょうか。

確かに意欲は低いのかもしれませんが、その理由は何なんでしょうか。

一つ一つ考えてみる必要がありますね。

 

意欲低下の原因は?

まずカルテから情報を拾ってみましょう。

 

発熱

熱が高いときは誰でも動きたくないものです。

38度でも動きたいという患者もいますが、

一般的には38度以上あれば中止です。

リハビリテーション中止基準でも、確か安静時に38.5度以上あれば中止と示されています。

熱の高さだけでなく、熱型の把握は大切です。

その患者さんがどの時期にあるのかのアセスメントや、今後どうなりそうかの予測も必要です。

 

痛み

痛みがあると、そもそも動きたいという気持ちが起きません。

痛いときに、さあ運動しましょうって言ったって、無理というものでしょう。

内服薬の確認をして、痛み止めを飲んでいるようであれば、

効いている時間帯を選ぶのも選択です。

内服なのか、注射なのか、点滴などの外用薬なのかで、効果が生じるまでの時間が異なります。

セラピストにとって薬剤のことは苦手な分野だと思いますので、

手っ取り早く看護師さんに、相談することをお勧めします。

 

栄養状態

TP、ALBは患者の栄養状態を表す指標です。

栄養状態が悪いと、リハの効果にも悪影響があります。

 

食事量

昨日の夕食や今日の朝食をどのくらい摂取できているかを、チェックしましょう。

食べられていないときは、当然体調不良の可能性は高いし、意欲は上がりません。

 

血液データ

様々なデータを見ていく必要があります。

たとえばCRP(C反応性蛋白)WBC(白血球数)などは炎症反応の指標になります。

どちらも基準値を超える場合、体内の炎症を疑います。

 

夜間の様子、眠れているか

夜間に眠れていないと、昼間寝てしまい、昼夜逆転などになっている場合もあります。

夜間の様子も看護師さんに聞くのが、いいですね。

 

以上、リハビリの意欲低下に関係している項目を、カルテからいくつか拾い上げてみました。

これらの中で一つでも問題があると意欲につながります。

そもそも病状が安定せずに、リハビリの段階に達していないのかもしれません。

 

一方、身体状態に問題がなかったとしても、その他の問題が影響している可能性があります。

例えばリハビリの内容に問題があるのかもしれません。

 

 

リハビリの必要性の理解の問題

そもそも患者さんはリハビリの必要性をはわかっているのでしょうか。

人間は理解しないものに対して能動的にはなれません。

本人は必要性を感じてないのに、家族がリハビリを依頼したなんてケース、山ほどあります。

 

難易度の問題

リハビリを効果的に進めるためには、その患者さんにとって、難しすぎるものはNGです。

難しすぎず、かと言って優しすぎず。

ちょっと努力したらできるくらいの内容が良いとされています。

を難しすぎると、代償動作も増えてしまいますし、

何よりモチベーションが下がってしまいます。

あともう少しでできるという期待感

できた時の達成感を上手く生かしながら進めたいものですね。

 

運動量は適切か

これも大切です。運動量が多すぎると、次の日に疲労として残ってしまいます。

筋肉痛や倦怠感があると、どうしても意欲が削がれてしまうものです。

疲労の具合を確かめながら、その日の内容を適宜調節しましょう。

「私のことをちゃんと見ていてくれている。」と患者さんが感じてくれたら、

セラピーは半分上手くいったと言ってもいいかもしれません。

 

まとめ

以上、いくつかの項目をざっとみてみました。

これ以外にも、意欲に関わっているものはたくさんあるでしょう。

一見関係ないように見える、家族の中のイザコザや心配事など

本人にとってはプライオリティが高く、「リハビリなんてやってられない」ってことになるかもしれません。

いろいろな可能性を探っていくことが大切ですね。

 

ありがとうございました。

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