弱者を食い物にする人たち(突発性難聴は治るか?)

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世の中には,

人の不幸につけ込んで商売をする人たちが少なからずいます。

病気になり、これから先の様々な不安に苛まれている時に、

その心の隙間に入り込んでくるのです。

特に難病と言われているものや、治療法が確立していない病気を患うと、

人は何かにすがりつきたくなるものです。

そのような人々の不安を煽ることで、商売をすようとする輩が巷にはたくさんいるのです。

 

僕の場合、突発性難聴になり、

とりあえず現在の医療で行いうる最先端の治療を一通り受けました。

たくさんの治療を受けさせてもらい、やり切った感を感じながらも、

「もしかしたら世の中には、知られていないだけで、治せる技術や達人がいるのかもしれない…」

とも思い、悶々たる気持ちで過ごしていた時期がありました。(もしかしたら今でも…)

 

そうしたときに、ある知り合いから、

「これ、〇〇さんに、絶対いいと思う」

とある治療院を紹介されました。

気持ちを切り替えなきゃと思っていた矢先でしたが、

「もしかしたら」という気持ちが頭をもたげ始め、

そのことが気になってしまいます。

結局、

「これだけ。これでダメだったら、諦めよう」と

最後の期待を込めて、行くことに決めました。

 

それは〇〇治療院という名前でした。

検索すると、かなり山の中。

電車とタクシーを乗り継ついで、ようやくたどり着いたそこは、

民家の一部を改修した建物でした。

中に入るとお香の匂いが立ち込めていて、

いかにもな雰囲気です。

僕の他には患者さんは居ないようです。

若い男性が出迎えてくれました。

院長と呼ばれるその方は、まだ若く歳は30代から40代前半、

昨日までサラリーマンをやっていたかのような風貌でした。

 

ハーブティーを出してもらい、問診。

これまでの経過を話しました。

話の中で、院長は、突発性難聴は治る可能性が高いこと、

その医院でも実際に治った人がいることを教えてくれました。

でも治療には長期間かかる場合が多いこと、

そのため費用がかかるから、回数券がお勧めだということもその時知らされました。

(今思えば、この時点で怪しさ満載)

 

触診されたりして、マッサージがはじまり、

ツボと言われているところを何度も刺激されました。

僕の場合、頸椎に歪みがあり、その部分で内耳まで通っている血管が閉塞したことによるものという診断でした。

筋肉のストレッチとホームプログラムの指導を受けました。

最後にまたお茶を出してくれて、少し話をして初回は終了。

9000円でした。

果たして高いか、安いか?

よくわかりません。

確かにリラックスできたし、話を聞いてくれて、

それ自体がセラピーになった気はします。

ですがそれが治ることにつながるとは正直思えませんでした。

例え頸椎の血流が良くなったとして、

一度死んでしまった細胞が再生するという理由もわからずじまいでした。

 

その後、3回通ったのですが、全く変わりがありませんでした。

聞こえないことは、全く変わりないし、

耳鳴りも変わりません。

結局、僕はその後そこに通うことはありませんでした。

院長は、彼なりに誠実に施術してくれたのだと思うものの、

やはり病気には治るものと、治らないものがあると思いを新たにしました。

 

3回目の治療の時に、院長はこう僕を諭すように言いました。

「信じる気持ちを持ちなさい」

その時、かすかにあった希望の光が消えてしまいました。

(宗教じゃないんだから…)

(ここでは治らない。ここ以外でも多分治らないだろう…)と。

 

一番最初に、病人を食い物にする輩が多いということを書きました。

別に彼がそうだと言っているわけではありません。

ただ、患者はやはり弱いものです。

病前の状態の記憶をなかなか消し去ることが出来なくて、

もしかしたら治るかもと淡い期待を抱いてしまうものなのです。

そういう気待ちを食い物にする人もいる反面、

ただただ善意でやっている人もいて、そのことが問題を複雑にしています。

 

でもだからこそ、自分自身に言いたくもなるのです。

 

治らないものに執着するな!と。

 

※内容に不快になった方がいたら、申し訳ありません。

 

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