〈スポンサーリンク〉
膝歩きとは?
リハビリで行う目的・方法・注意点をイラストで解説
「膝歩き」という運動をご存じでしょうか。
膝歩きとは、両膝を床につけた膝立ちの姿勢から、左右の膝を交互に前へ出して移動する運動です。
一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、リハビリでは、股関節や骨盤、体幹を使いながら姿勢を保ち、重心を移動する練習として取り入れられることがあります。
脳卒中後の片麻痺の方に対する運動療法として用いられることもあります。
膝歩きでは、どんな動きが必要?
通常の歩行では、股関節・膝関節・足関節などを協調させながら身体を前へ運びます。
一方、膝歩きでは膝から下を床につけた状態で移動するため、立って歩く場合とは身体の使い方が変わります。
特に重要になるのが、股関節・骨盤・体幹のコントロールです。
片方の膝を前へ出すためには、反対側で身体を支えながら重心を移動させなければなりません。
そのため、単純に「大殿筋を鍛える運動」と考えるより、
「身体を支える」
「左右へ重心を移す」
「骨盤を前へ運ぶ」
といった要素を含んだ運動として考えると分かりやすいと思います。

脳卒中後のリハビリでは?
脳卒中後の片麻痺では、麻痺側下肢で身体を支えることや、骨盤・体幹をコントロールしながら重心を移動することが難しくなる場合があります。
膝歩きでは立位よりも低い姿勢で、左右への重心移動と下肢の前方への移動を繰り返します。
そのため、患者さんの状態やリハビリの目的によっては、歩行につながる身体の使い方を練習する一つの課題として利用できます。
ただし、膝歩きをすれば歩行能力が改善する、と単純に考えることはできません。
患者さんの問題点を評価したうえで、「なぜこの運動を行うのか」を考えて選択することが大切です。
膝歩きの方法
まず、両膝を床につけて膝立ちになります。
お尻が後ろへ引けすぎないように、股関節と体幹を起こします。

膝立ちの姿勢から、一方の膝を前へ出します。

次に反対側の膝を前へ出します。

左右交互に繰り返しながら、少しずつ前へ進みます。
ポイントは、膝だけを前へ出そうとしないことです。
一方の膝を前へ出すためには、反対側へ重心を移し、支持側で身体を安定させる必要があります。
身体が左右にどのように動いているか、骨盤がどのように前へ運ばれているかにも注目してみましょう。
こんな膝歩きには注意
膝歩きをしていると、お尻が後ろへ引けてしまうことがあります。

また、身体を前へ運ぼうとして体幹だけが大きく前方へ倒れてしまうこともあります。
「前へ進めたからOK」ではありません。
どこで身体を支え、どのように重心を移しているのかを見ることが大切です。
安全に行うために
膝歩きは立位より重心位置が低い運動ですが、バランスを崩して転倒する可能性があります。
必要に応じて安定した台などを利用し、安全を確保して行います。
特に脳卒中後の麻痺や強いバランス障害がある場合には、一人で無理に行わず、理学療法士など専門職による評価や介助のもとで行ってください。
また、膝を直接床につける運動ですので、膝に痛みがある場合などには適さないことがあります。
「膝歩きができる」だけを目的にしない
膝歩きそのものが上手になることが、リハビリの最終目的ではありません。
大切なのは、
なぜ、この患者さんに膝歩きを行うのか。
股関節周囲筋の活動を見るためなのか。
重心移動を練習するためなのか。
骨盤や体幹のコントロールを見るためなのか。
あるいは、立位や歩行につながる身体の使い方を練習するためなのか。
同じ「膝歩き」という運動でも、その意味は患者さんによって変わります。
運動の形だけを見るのではなく、その動作の中で身体がどのように働いているのかを見ること。
それが、膝歩きをリハビリに取り入れるときの大切なポイントだと思います。
膝立ちを扱った別の記事もあります。(→こちら)
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
〈スポンサーリンク〉